野口雨情
底本:「定本 野口雨情 第三巻」未来社
1986(昭和61)年3月25日初版第1刷
1996(平成8)年5月31日初版第2刷
底本の親本:「青い眼の人形」金の星社
1924(大正13)年6月発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:大野晋
校正:林 幸雄
野口雨情
起き上り小法師
達磨(だるま)さんの小法師は
転げていつた
転げていつて達磨さんは
起き上つた
三番叟(さんばそう)の小法師も
起き上つた
ころころ転げていつて
起き上つた
奴(やつこ)さんの小法師も
転げていつた
転げていつて奴さんも
起き上つた
起き上つて奴さんは
「お早やう」と云つた
渡りやんせ
渡りやんせ
渡りやんせ
さつさとこの橋
渡りやんせ
雨が降つて来る
渡りやんせ
雨が降つて来りや
水増しぢや
橋が流れる
渡りやんせ
渡りやんせ
渡りやんせ
あとから続いて
渡りやんせ
橋が流れる
渡りやんせ
佐渡が鳥
海に海鳥
鴎鳥
海の遠くは
どこの国
あれは越後の
佐渡が島
波々打つな
波打つな
佐渡は越後の
離れ島
風鈴
つば子
つば子が来てる
つば子が来てる
つばめの子供の
つば子が来てる
つば子よお母(つか)さんと
来たのかい
お母さんはあとから
まゐります
一船(ひとふね)おくれて
まゐります
つば子が来てる
つば子が来てる
一船さきに
つば子が来てる
(註。つば子とは燕の子に仮につけた呼び名です)