野口雨情
底本:「定本 野口雨情 第三巻」未来社
1986(昭和61)年3月25日初版第1刷
1996(平成8)年5月31日初版第2刷
底本の親本:「青い眼の人形」金の星社
1924(大正13)年6月発行
※本作品中には、身体的・精神的資質、職業、地域、階層、民族などに関する不適切な表現が見られます。しかし、作品の時代背景と価値、加えて、作者の抱えた限界を読者自身が認識することの意義を考慮し、底本のままとしました。(青空文庫)
入力:大野晋
校正:林 幸雄
野口雨情
赤い靴
赤い靴 はいてた
女の子
異人さんに つれられて
行つちやつた
横浜の 埠頭(はとば)から
船に乗つて
異人さんに つれられて
行つちやつた
今では 青い目に
なつちやつて
異人さんのお国に
ゐるんだらう
赤い靴 見るたび
考へる
異人さんに逢ふたび
考へる
螢のゐない螢籠
螢のゐない 螢籠
螢は
飛んで 逃げました
今朝目がさめて 見たときに
螢は
飛んで 逃げました
青い ダリヤの葉の上を
急いで
飛んで 逃げました
高い お庭の木の上を
急いで
飛んで 逃げました
螢のゐない 螢籠
さびしい
籠に なりました
ひばり
雲雀(ひばり)は歌を
うたつてる
畑の歌を
うたつてる
朝から晩まで
うたつてる
菜種が咲いたと
うたつてる
げんげが咲いたと
うたつてる
ピーチー ピーチー
うたつてる
月の夜
機織(はたおり)虫は
月の夜に
芒(すすき)にとまつて
機を織る
カンカラ コン
カンカラ コン
まだ夜は明けない
明けないと
芒にとまつて
機を織る
カンカラ コン
カンカラ コン